愛知の児童虐待情報【愛知2021】

統計情報

児童虐待への対応については、従来より制度改正や関係機関の体制強化などにより、その充実が図られてきました。しかし、深刻な児童虐待事件が後を絶たず、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数も増加を続けており、依然として社会全体で取り組むべき重要な課題となっています。

妊娠・出産・育児期の家庭では、産前産後の心身の不調や妊娠・出産・子育てに関する悩みを抱え、周囲の支えを必要としている場合があります。こうした家庭に適切な支援が差しのべられず、痛ましい児童虐待に至ってしまうことのないよう、国・県・お住いの市町村では、妊娠・出産・子育てに関する相談がしやすい体制の整備や、地域の子育て支援サービスの充実を図っております。また、子育てを応援している地域の市民団体もたくさんありますので、

「こんなことくらい」と思わず、気軽に相談をしていただきたいです。
以下に愛知県の児童虐待に関するデータを掲載していますので、ぜひご活用ください。

児童虐待の種類

身体的虐待

殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

性的虐待

子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

ネグレクト

家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

心理的虐待

言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

虐待の内容

引用:2021 年度児童相談センター相談実績の概要及び 児童虐待防止に関する取組の実施状況について(※)

虐待の内容については、心理的虐待の件数が急激に増加しています。新型コロナ感染症対策によって、自宅で過ごすことが増え、他者との交流が少なくなったため、ストレスが家庭内に向いたのではないかと推測しています。

 被虐待児童の状況


引用:2021 年度児童相談センター相談実績の概要及び 児童虐待防止に関する取組の実施状況について(※)

被虐待児童の状況については、どの年齢も増えていますが、特に小学生、続いて3歳以上、中学生の増加が著しい状態となっています。新型コロナ感染症対策によって、保育園や幼稚園、小中学校が休みになったり、放課後に友達と遊んだりすることが難しく、自宅で家族のみで過ごすことが増えたことが要因ではないかと思われます。

年齢層別の虐待種別割合


引用:2021 年度児童相談センター相談実績の概要及び 児童虐待防止に関する取組の実施状況について(※)

 年齢層別の虐待の種類については、年齢が大きくなるほど身体的虐待の割合が高く、年齢が小さいほど心理的虐待、ネグレクトの割合が多いことがわかります。年齢が大きくなると、自身で考えて行動することができるため、ネグレクトや心理的虐待を回避することが可能となります。一方で保護者はいうことを聞かない児童に対して、しつけと体罰の境目がわからなくなり、しつけが徐々にエスカレートしていき体罰に発展する傾向があります。

あいちのホームスタートが大切にしたいこと

「すべての子どもに幸せな人生のスタートを」

「子育て」が「孤育て」にならないために
昔は地域ぐるみで子育てを支え合える環境がありましたが、今では地域のつながりも薄くなり、親が一人で子育てすることが多くなってきました。また、核家族化や少子化で、子どもの頃から乳児に触れる機会がないまま自身の子育てに直面する人も急増しています。

このような時代背景の中で様々な子育て支援施策が打ち出されていますが、残念ながら、「子育てひろばなどに出かけづらい親子」や「専門機関の支援を受けるほど問題は重篤ではないけれど、ストレスを感じている親」には、支援は届いていません。ホームスタートは、こうした支援のすき間で孤立しがちな親子のもとへ支援を届ける訪問支援です。

小さな悩みが一人で抱えることで大きくなってしまう前に

専門家による訪問支援も各自治体で始められていますが、優先度の高い問題が深刻化した家庭への訪問が多いため、問題が顕在化していない家庭への訪問支援はなかなかできないでいるのが現状です。子育て中の孤立感は多くの親が感じることですが、小さな悩みも一人で抱えてしまうことで大きな悩みになってしまうことは、誰しもに起こりうることです。私たちは、問題が大きくなってから支援を得られる社会ではなく、問題が深刻化する前に、誰でも「気軽に」手助けを得られる社会にしてゆきたいと考えています。

新しい協働のカタチで循環型の支え合いのまちづくりを

住民参加型 +「質」を担保できる訪問支援=ホームスタート

イギリスで約40年前に始まったホームスタートには、地域の子育て経験者(非専門家)でも、安心安全に訪問支援に参加できる「しくみ」があります。保健師等の地域の専門家と協働しながら、ピア・サポーター(当事者)によるボランティア活動ならではの寄り添う支援に焦点をあてることで、多様な親のニーズに応える高い効果を挙げています。NPO等と行政との新しい協働のカタチが、ホームスタートです。

子育て経験のある地域住民がホームビジターとなることで、訪問支援のすそ野が拡がり、地域の子育て力を底上げします。そして、訪問支援を利用した親自身がホームビジターとして支援者になってゆく循環も生まれています。地域全体で子どもの育ちと子育てを支え合える未来志向のまちづくりにつながる活動です。

※引用 2021 年度児童相談センター相談実績の概要及び 児童虐待防止に関する取組の実施状況について
(記事引用データは2021年時点のものです。現在は2022年データが公開されています。 https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/463302.pdf )

記事:櫻井雅美