子育て支援の拠点「こども家庭センター」の整備が進む今、知っておきたい制度のポイント(2025年版)

支援制度・法律

2024年4月、児童福祉法の改正により「こども家庭センター」の設置が市区町村の“努力義務”とされ、全国で整備が加速しています。このセンターは、妊娠期から学齢期の子どもまでを切れ目なく支える「子育て支援の拠点」として期待されています。

本コラムでは、制度の背景やセンターの役割、全国の設置状況、今後の展望をわかりやすく紹介し、子育て家庭や支援者、行政関係者にとって役立つ情報をお届けします。

制度の背景と施行時期

2022年6月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)」により、こども家庭センターの設置が盛り込まれました。これにより、以下のような支援体制が法制度として整えられました:

  • 「母子保健」と「児童福祉」の機能を統合
  • 妊娠・出産・育児期にわたる切れ目ない支援
  • 要支援児童や特定妊婦への支援計画(サポートプラン)作成
  • 市町村に設置努力義務

中心的な改正は2024年4月1日より施行されました。

こども家庭センターとは?

こども家庭センターは、子育て家庭が相談しやすく、必要な支援につながることができる「地域の窓口」です。従来の「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」を一体化し、ワンストップ支援を実現する施設として整備が進められています。

【主な業務内容】

  • 妊娠・出産・子育てに関する相談対応
  • 子育てに関する情報提供や専門機関との連携
  • 支援計画(サポートプラン)の作成
  • 家庭訪問や育児支援、短期入所などの対応
  • 全国の設置状況(2025年時点)
都道府県名 自治体数 設置済の自治体数 未設置の自治体数 設置済自治体数の割合
1 北海道 179 28 151 15.6%
2 青森県 40 14 26 35.0%
3 岩手県 33 17 16 51.5%
4 宮城県 35 19 16 54.3%
5 秋田県 25 11 14 44.0%
6 山形県 35 27 8 77.1%
7 福島県 59 28 31 47.5%
8 茨城県 44 28 16 63.6%
9 栃木県 25 19 6 76.0%
10 群馬県 35 7 28 20.0%
11 埼玉県 63 47 16 74.6%
12 千葉県 54 23 31 42.6%
13 東京都 62 33 29 53.2%
14 神奈川県 33 21 12 63.6%
15 新潟県 30 16 14 53.3%
16 富山県 15 12 3 80.0%
17 石川県 19 15 4 78.9%
18 福井県 17 13 4 76.5%
19 山梨県 27 11 16 40.7%
20 長野県 77 33 44 42.9%
21 岐阜県 42 27 15 64.3%
22 静岡県 35 17 18 48.6%
23 愛知県 54 39 15 72.2%
24 三重県 29 15 14 51.7%
25 滋賀県 19 11 8 57.9%
26 京都府 26 14 12 53.8%
27 大阪府 43 26 17 60.5%
28 兵庫県 41 26 15 63.4%
29 奈良県 39 21 18 53.8%
30 和歌山県 30 13 17 43.3%
31 鳥取県 19 5 14 26.3%
32 島根県 19 15 4 78.9%
33 岡山県 27 10 17 37.0%
34 広島県 23 15 8 65.2%
35 山口県 19 8 11 42.1%
36 徳島県 24 9 15 37.5%
37 香川県 17 5 12 29.4%
38 愛媛県 20 8 12 40.0%
39 高知県 34 8 26 23.5%
40 福岡県 60 59 1 98.3%
41 佐賀県 20 4 16 20.0%
42 長崎県 21 13 8 61.9%
43 熊本県 45 35 10 77.8%
44 大分県 18 14 4 77.8%
45 宮崎県 26 13 13 50.0%
46 鹿児島県 43 10 33 23.3%
47 沖縄県 41 14 27 34.1%
全国合計 1,741 876 865 50.3%

※ こども家庭庁(こども家庭センターの設置状況等について )より
※ 設置率は毎年増加傾向にあり、2026年度末にはすべての市区町村での設置が見込まれています。

支援の流れと連携体制

相談の受付から支援実施まで、以下のような流れで進められます:

妊娠届の受付・初回相談
支援ニーズの把握とサポートプラン作成
家庭訪問や関係機関との連携支援
モニタリングと見直し(必要に応じて再調整)
こども家庭センターは、保健師・社会福祉士・臨床心理士など専門職が連携して対応にあたります。また、民間団体や地域ボランティア(例:ホームスタートなど)との協働も推進されています。

今後の課題と展望

課題 解決の方向性
設置・運用の地域差
専門人材の確保・育成
民間団体との協働体制づくり
情報の届け方(PRや周知不足)
ガイドライン活用、自治体間連携強化
認定制度の整備、研修体制の構築
地域資源の共有・連携強化
情報サイトや地域広報での継続的発信

まとめ

こども家庭センターの設置促進は、子育て中の家庭にとって、より身近で安心できる支援体制を整える大きな進展です。制度の整備が進む今こそ、「困った時に誰かに相談できる」環境を地域全体でつくることが求められています。

今後も、子育て支援の現場や制度の動向に注目し、必要な情報をタイムリーにお届けしてまいります。

 

関連記事